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マザー / 宮下倉庫さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=187135
血縁だとか地縁だとか、そういった繋がりで縛られている田舎と比べれば、都会は確かに、「点描で溢れる/モザイクの町」でしょう。人も建物もあふれているのに、孤立している。たとえば、マンションの隣の住人の名さえ知らない、というのも決して珍しくはないですね。
点と線のモチーフが繰り返し語られている本作ですが、おもしろいなと思ったのは三連目、「指折って/数えられるものを数え(中略)また一から数えなおし/数えていたものを忘れる」の部分。個々の孤立する数字を、星座を結ぶように、指折り数えるという行為が、「名づける、という行為」と重ね合わされているというのが、大昔から脈々と続いてきた人間の営み、とかを思い起こしますね。
あくまでも「僕」という個人を語りながら、その過去から受け継がれてきたもの、そして未来へと受け継がれていくもの、という線を見据える、幾層にも重ねられた点と線の関係が、うまいなと思います。
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=187135
血縁だとか地縁だとか、そういった繋がりで縛られている田舎と比べれば、都会は確かに、「点描で溢れる/モザイクの町」でしょう。人も建物もあふれているのに、孤立している。たとえば、マンションの隣の住人の名さえ知らない、というのも決して珍しくはないですね。
点と線のモチーフが繰り返し語られている本作ですが、おもしろいなと思ったのは三連目、「指折って/数えられるものを数え(中略)また一から数えなおし/数えていたものを忘れる」の部分。個々の孤立する数字を、星座を結ぶように、指折り数えるという行為が、「名づける、という行為」と重ね合わされているというのが、大昔から脈々と続いてきた人間の営み、とかを思い起こしますね。
あくまでも「僕」という個人を語りながら、その過去から受け継がれてきたもの、そして未来へと受け継がれていくもの、という線を見据える、幾層にも重ねられた点と線の関係が、うまいなと思います。
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育成歴 / つめきりさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=154056
これは、なんだろう。
白と白と白の絵の具を、ごちゃまぜに混ぜたよう。
その中でいやに、グレープフルーツのつぶつぶが、くっきりしている。(書かれてないけれどこのグレープフルーツは、きっとピンクグレープフルーツだ、と思った。 )
家の柱に、背の高さを記すような、それが育成歴、なのだろう。あるいは暦のように、生きものの成長のために必要な、日の高さとか、潮の満ち引きとか、なのかもしれない。
たぶんその、両方。
意味はすべてはすくいきれない。その、手のうちに収まりきらずに、さらさらと流れていってしまう感触、が、心地よい作品。
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=154056
これは、なんだろう。
白と白と白の絵の具を、ごちゃまぜに混ぜたよう。
その中でいやに、グレープフルーツのつぶつぶが、くっきりしている。(書かれてないけれどこのグレープフルーツは、きっとピンクグレープフルーツだ、と思った。 )
家の柱に、背の高さを記すような、それが育成歴、なのだろう。あるいは暦のように、生きものの成長のために必要な、日の高さとか、潮の満ち引きとか、なのかもしれない。
たぶんその、両方。
意味はすべてはすくいきれない。その、手のうちに収まりきらずに、さらさらと流れていってしまう感触、が、心地よい作品。
神保町にゆきたい / ZUZUさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=65917
私は関西の人間なので、東京はあまり詳しくないのですけれど、それでも出だしの「神保町にゆきたい/中央線でゆきたい/半蔵門線でもよい」で、あぁ、たしかに中央線でゆきたいなぁ、半蔵門線でもいいなぁと、ぎゅっと掴まれてしまうのは、言葉のパワーですね。
もちろん神保町がどんな町なのかも知らないし、思い出なんてまったくないのに、エロDVDを置いている「あの店」や、「おれの落ちた大学」、「あの娘の通った美術学校」と、話者の思い出を辿るうちに、ますます神保町にゆきたくなってくる。
この説得力は、ちょっとすごいと思います。
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=65917
私は関西の人間なので、東京はあまり詳しくないのですけれど、それでも出だしの「神保町にゆきたい/中央線でゆきたい/半蔵門線でもよい」で、あぁ、たしかに中央線でゆきたいなぁ、半蔵門線でもいいなぁと、ぎゅっと掴まれてしまうのは、言葉のパワーですね。
もちろん神保町がどんな町なのかも知らないし、思い出なんてまったくないのに、エロDVDを置いている「あの店」や、「おれの落ちた大学」、「あの娘の通った美術学校」と、話者の思い出を辿るうちに、ますます神保町にゆきたくなってくる。
この説得力は、ちょっとすごいと思います。
手違い / 小川 葉さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=146919
なんだかとっても、ありえないような設定なんですけれど、出だしのつかみ、「奥さんがベッド/僕がソファ/と決めてから/少しずつ話すようになった」というのが、自然な流れで、いかにも「ありそう」なことのように思えるので、その後の展開まで、なんだかそんなことがありえそうな、そんな気分になってきます。
「僕はソファの上で/妻のことを考えていた」からの5連目は、読んでいて少し、じんとしてしまいますね。
この世のすべての偶然に、おもわず感謝したくなってしまうような、あたたかい作品です。
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=146919
なんだかとっても、ありえないような設定なんですけれど、出だしのつかみ、「奥さんがベッド/僕がソファ/と決めてから/少しずつ話すようになった」というのが、自然な流れで、いかにも「ありそう」なことのように思えるので、その後の展開まで、なんだかそんなことがありえそうな、そんな気分になってきます。
「僕はソファの上で/妻のことを考えていた」からの5連目は、読んでいて少し、じんとしてしまいますね。
この世のすべての偶然に、おもわず感謝したくなってしまうような、あたたかい作品です。
砂の埋葬。 / 紅魚さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=118955
中盤の「む。/り。/だ。/よ。」の、一音一音の美しさ。
まさに「あたし」のこぼしていく砂の、一粒一粒のようで、こんなにもスクロールの似合う作品は、他にはちょっとないのではないかと思います。
「苦労して、どうにかうずめた/あなたのつま先」も、「あなた」が少し動かしてしまえば、すぐに砂はこぼれおちていってしまうわけで、いかに不毛な行為であるか、は、たぶん「あたし」自身がいちばん分かっているのでしょう。
だからこそ、「その忠実な墓守りに、なります。」という「あたし」の決意は、とてもせつなく響いて、胸の奥にそっと、しまっておきたくなります。
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中盤の「む。/り。/だ。/よ。」の、一音一音の美しさ。
まさに「あたし」のこぼしていく砂の、一粒一粒のようで、こんなにもスクロールの似合う作品は、他にはちょっとないのではないかと思います。
「苦労して、どうにかうずめた/あなたのつま先」も、「あなた」が少し動かしてしまえば、すぐに砂はこぼれおちていってしまうわけで、いかに不毛な行為であるか、は、たぶん「あたし」自身がいちばん分かっているのでしょう。
だからこそ、「その忠実な墓守りに、なります。」という「あたし」の決意は、とてもせつなく響いて、胸の奥にそっと、しまっておきたくなります。
執筆者
ツユサキ
石畑由紀子
ことこ
石畑由紀子
ことこ
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