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ショートレビュー・サンデーは更新を終了します。
ご協力いただいた皆様、また作者の方々、ありがとうございました。
このブログ自体は閉鎖せず、公開を続けます。

またどこかでお会いしましょう。
楽しかったです。

                               ツユサキ
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inu_zou_p.gif虹のない/あるせいかつ / コーリャさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=235936



すばらしかったです!現代詩フォーラムでも屈指のポエム力を持つコーリャさんの最新作。軽やかな跳躍と鮮やかな語り口に特徴のあるコーリャさんですが、ここに深度を兼ね備え傑作を生み出されました。読んだ瞬間、ハートを射抜かれましたね。読んでない人はいますぐ読むべき。

おもしろい詩って、よい詩ってなんだろうと、詩を書く人はずっと悩みつづけていると思いますが、ぼくがもし詩書きになるならこんな作品を書いてみたいベスト3にランクインさせたいとおもう。これだけひとつの真実にむかって自由に言葉をあやつれるってどんな気分なのだろうと夢想しました。

本作の最も特徴的なところは「あなたも筆頭に」という言葉に代表される読者への問いかけがはっきりと示されている部分にあるとおもう。以前までの作品は、センスのあるフレーズや美しいイメージを眺めて「すげーな」という傍観者でしかいられませんでしたが、本作は強くわたしに参加を求めている。これは作者だけの詩ではなく、ぼくらの詩なんだ。という実感がより読者を引き込む力になっているとおもう。

限りある平面な世界で、わたしたちが想像できる範囲はどこまでだろうと考えると無力さを感じずにはいられない。もしかしたらフクシマでさえ、滝の向こう側にあるような気さえする。本作にあるのはどうしようもない他者との隔たりだし、それはつまり絶望なのですが、それでもあきらめきれない切なさが胸を打ちました。

部分部分で気に入ったところを挙げるときりがないのでひとつだけ。「世界が不確かになっていくと感じるとき」の連がとくによかったです。その感覚たしかにある。ぼくだと換気扇のしたでひとりぼんやり煙草吸ってるときとかかな。とにかく良い連ではっとしました。
inu_zou_p.gif『ハロー、ハル』/川村 透さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=113655



 「詩は災禍を前に無力である」と感じてしまうような4月のある日。ふと思い出して『ハロー、ハル』を読み直し、しばらく呆然としてしまいました。そうか。とおもった。いや、特になにか結論がでたわけじゃないけれど。とにかく、そうだよ。とおもった。とっても胸が熱くなったのでした。

 本作は2007年に投稿されたものなので、震災とは何の関係もないですが、ふとした瞬間、過去に読んだ詩の一節が頭の中によみがえりぴったり来てしまうことってたまにある。いつか見た言葉がわたしの中に息づいているというのは、よく考えたらすごいことだ。

 改めてみんなの作品を読ませてほしいと思ったな。言葉は痛みをともなうし無力かもしれないけれど、誰かの中に残り続けることができる。わたしに川村さんの言葉が残り続けたように。そして、それだけで充分なのではないかと漠然とおもいました。この作品に出会えてよかったです。
inu_zou_p.gif テンガロン / あ
 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=186000
 


 心配性で変に格好つけなわたしにとってこの作品にでてくる「俺」というのは、もうほとんどあこがれである。わたしはこれでもけっこうイケてるナイスガイのはずなのだけど、人を惹きつけるのはだいたいこういうやつだ。みっともない姿をさらすくせにそれが自然体で、向こう見ずなのに、でもときどき影がある。そういう男にあこがれちゃうのはなんでなのだろう。

 この作品でも、黒髪の美人の家にあがりこみ、タロイモごちそうになったあげく「テンガロンはしばらくここで暮らすよ」というずうずうしさを発揮している。このためらいのなさ。わたしだったら、そこで「迷惑ではありませんか」と期待してるくせに格好つけてしまう。そしてだいたい下心を見ぬかれるのだ。くやしい。

 詩全体として、決して技巧的ではないですが、巧拙をこえた情熱がたしかに刻印されているし、なにより「俺」こと「テンガロン」が絵になる男として魅力的に生き生きと描かれているところがよかった。むしろこういう男を描くには、これぐらい荒削りで勢いのある表現のほうがいいのかもしれない。要所要所で、ひじょうに詩情あふれるキラーフレーズがあって、ぐっときました。最高!
inu_zou_p.gif カニミソ2 / 番田さん
 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=211270



 からっとしたユーモアに、若干ただよう物悲しさ。このなんとも言えない空気感がひじょうにおもしろかった。まとめてしまうと、カニ釣って、友人としゃべって、車で帰るだけなのですが、描写がうまくて飽きないつくりになっているとおもう。

 ポールスミスの紙袋、ビーズの稲葉似の男、ダイソーのピッキング係などといった単語のセンスが独特ですごくよかった。ビーズのくだりは想像して笑ってしまって、その言葉を選びますか、という新鮮さにとくに感心しました。

 会話の部分はやたら説明的で、小説なんかだと不自然になってしまうところなんですが、その違和感を逆手にとってうまく詩としてとりこんでいるとおもう。ほかにも「タムタムという漁船の音」とかおもしろい表現だし、称賛したい箇所がたくさんある良い作品でした。

 関連
 カニミソ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=210417
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執筆者
ツユサキ


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