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inu_zou_p.gif からだ  C子さん
 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=179260
 


 わたしとあなたのいろいろな意味での勝負を、からだになぞらえてつづってある詩ですが、これがけっこうおもしろく読めてよかった。冒頭の畳みかけもセンスがよくて続きを読みたくなるつかみになっているとおもう。「せなかは使わなかった」とか名フレーズ。

 どちらかというと、詩的文法にきちんと沿った作風だと感じました。たとえば、わたしとあなたの対比で進む展開。「せなか」や「ちぶさ」といったキーワードが順々に登場して、新たにでてきたワードがどこかに接続される。構造的にきれいに整理された印象でとても読みやすいです。逸脱したり飛躍したり、いくらでも複雑にできそうなのにしないところがすごくいいとおもう。

 男女のちがい、というものはたしかにあってそれに僕らは悩むし苦しむ。でも、苦しむ価値があるからこそ僕らはだれかを愛す。そういう男と女の戦いの原始的な美しさがうまく表現されていてよかった。

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girl17.gif 夜を噛む ma-ya さん
 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=170228



 全体をおおう静けさが、その直前の激しい炎をおもわせます。家も、 家具も、宝物もすべて、焼き尽くし奪い去っていった狂気。けれど主人公は焼け跡のあたたかみに触れ、その狂気の余韻を味わっているようでもあり、理屈ではない感情がいまも胸のなかに立ちのぼっていることを私たちに知らせています。幾筋もの煙が上がる焼け跡の情景と重なって、私が特に好きな場面です。

 詩のなかに散りばめられたアイテムのひとつひとつが、配置も含めてどれも魅力的。私たちは家なしでは暮らせないから、また新しい家をささやかに建て、キャラメルもまた蓄えるでしょう。いつか犬歯は燃えかすではなく誰かの腕を。恋をしては、失って、傷を負い、何度ひとりになっても。また人に焦がれずにいられなくなる、という甘いかなしみと共に、私たちは生きるのでしょう。

 詩のなかに、可憐ないのちが咲いてます。とても好きです
inu_zou_p.gif 遠泳  砧 和日さん
 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=87996



 彼と彼女の関係性は、不等号であらわせば 彼<彼女 なんだろうなぁ。でも、等しくありたいから、彼は、彼女はイコールを望む。そうやって、成り立ち続けることはやっぱりむずかしいよ、とおもう。もちろん誰もが誰かのために無理をするんだけれど、劣等感というものはそんな簡単になくなってはくれない。気にしないふりをしても、なにかの拍子に頭をもたげ、素直になることをゆるさない。呪いのようなもので、たぶん今もわたしはこの呪いに苛まれているような気もする。そういうことを、おもう。

 砧 和日さんは、人間関係や心の機微を切り取るのが抜群にうまいな、とほかの作品を読んでもおもう。簡潔なことばづかいで、むだのないスマートなかたちが美しい。くちずさむと歯切れがいいし、上記のような感情移入ができないときでも、つい読んでしまう。短く潔いんだけど、かならずどこに足をとめてしまうような光る言葉がある。せっかちな自分としては、そういうところがうれしいので、いいとおもう。
inu_zou_p.gif ルアーズ  uminekoさん
 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=171822



 魚に似せられてつくられたルアー。本物の魚を釣りあげるため、ルアーは川を(湖を)泳ぐわけですが、そこに詩情を見いだすところがすごい。にせものとほんものの邂逅を見事に描き出しているとおもう。
 uminekoさんの詩はどれもすばらしくて、去年はよく読みました。やはり短いのがいいとおもう。短さはそれだけで長所だと痛感するこのごろ。長さでごまかせないし、短いなかでインパクトも与えなくちゃならないからハードルは高い。けれど、それを軽やかに飛び越えてそんな苦労をみせないところがとてもすてきです。
 この作品でもちゃんと印象的な部分をつくって読者を楽しませてくれています。「哀しみに似た」で終わる最後のフレーズなんか、快感すらともなうほど。口ずさむと抜群のリズムであることも注目したいです。
inu_zou_p.gif 軽さへのあこがれ  佐々宝砂さん
 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=151410



 全体の分量がこれ以上ないほど最適で舌を巻いてしまいました。表現したいことがあって、それを書くとき。そのテーマにふさわしい長さや重量というものがあるとおもう。その最適な感覚こそがじつは詩でいちばん大切で、むずかしいことなのではと感じて、興味深かった。
 おもわず息をとめてしまうような1連目もまたすごい。とりたてて派手な言葉ではないのに、鮮烈です。いろいろなものがつまった14行で、くりかえし読みたい一作だとおもう。
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執筆者
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